大学講師をやめることにしました

法人として2年間、弊社のスタッフ2名で大学の非常勤講師を引き受けていたのですが、大学講師の契約を今年で打ち切ることにしました。

 

講義としては、学生たちの満足度も高く、学生アンケートのすべての項目において高い評価を得ていましたし、私たち自身も学生たちにはなんの不満もありません。

 

学生や講義の中身というよりは、大学側のもろもろに不満があって講師をやめるという形です。

 

 

なぜ民間業者が大学で働けたのか?大学で勤務するには?

そもそも、一民間業者がなぜ大学で働けたのか?というお話ですが、もともとは前学科長にスカウトされるような形で、大学との講師契約が決まりました。

 

弊社は実技系の講師として、外部の企業様に出張セミナーを行っています。その際に、前学科長が参加者として出席しており、セミナーとしての指導力、技術力を見てスカウトされたそうです。

 

大学で勤務するには実技系のスキルだけでなく、学歴も必要で、その意味では弊社のスタッフは大卒が1名と、大学院卒が1名だったのも好都合だったというのもあるでしょう。

 

前学科長は意欲的な方で、大学の今後についても考えており、「実技系の講義は実習中心になってしまいがちなので座学を多めに取り入れてほしい」「特定の分野にしか興味がない学生たちに幅広い興味を持てるような講義をしてほしい」といった依頼を受けておりました。

 

ただ、正直、講師を引き受ける単価としては、魅力的なものではありませんでした。

 

今だから言えますが、スタッフ2名で4コマの講義を担当して3万円程度です。時給にしたら2,500円。講義の準備時間を考えれば、個人事業主でも悩む金額でしょうが、法人の売り上げとしては新入社員でもない限り、なおさら魅力があるとは言えません。

 

交通費が出るとはいえ、出勤にも会社から片道1時間かかるため、スタッフには余計な負担を強いる形になります。

 

ただそういった点に関して、前学科長からは「普段のセミナー金額からしたら非常に少ないと思うけれども、広告宣伝にもなると思いますのでどうか……」という言葉をいただいていたうえ、丁寧にお願いをされたので、お引き受けした経緯があります。

 

講師を引き受けてから学生たちに聞いて知ったのですが、前の講師の方は学生からの評判も悪く、好きな学生たちをひいきしたこともあったそう。前学科長も、そういった事態を憂慮していたのかもしれません。

 

実際に、わたしたちが設備を見たところ、実習に使うマシンもメンテナンスが行き届いておらず、明らかに技術・知識不足の講師が大学で講義をしていたことがうかがえます。※マシンは初回講義の2時間前に出勤し、サービスでメンテナンスをしました

 

「さすがにもうちょっとまともな環境で学生たちを育ててあげたい」

 

そういった気持ちもあって、学生たちの指導を引き受けました。私たちも「大学と講師契約を結んでいる」ということで企業としての知名度・信頼度アップを狙っていたという打算的な目的があったのは否定しませんが……。

 

なぜ大学をやめるのか?

そんな大学をやめることになった理由としては大きく下記のような理由があります。

 

大学側が学生をなめている

学長や講師の入れ替わりで急に対応が悪くなった

知らぬ間に勝手に予算が引き下げられていた

金銭面のやり取りが不透明すぎる

法人契約の場合、講師料の入金は半年後

 

大学での勤務を開始した直後から感じていたことですが、弊社が勤務した大学の講師は学生をなめています。

 

勤務を開始した当初、ほかの先生から「うちの学生たちは話を聞かないでしょー」と言われたときから疑問に思っていました。

 

確かに、講義中に携帯をいじっている子もいますし、寝ている子もいます。なんなら、イヤホンを指してひたすらYoutubeを見ている子すらいます。

 

ただ、民間での講義をしていると、そんなものは当たり前ですし、そういった聞き手に「いかに興味を持たせるか」から始まることがほとんどです。「講師を試す姿勢」でくる高齢者のお客さんがいないだけ、まだ大学のほうがマシといえるほうかもしれません。

 

実際、私たちの講義の末期ごろの学生たちは、そんじょそこらのアルバイトスタッフや、正社員になりたてのスタッフよりも明らかに知識的・技術的に(平均すれば)勝っていますし、納得がいかなければ自分たちで練習を重ね、原因を考えるようになります。

 

どちらかというと、学生たちのやる気のなさは、講師の方の学生に対する態度や講義内容が問題なのではないかと思うことが多々ありました。

 

それだけなら、私たちが学生たちに真摯に向き合えば終わりなのですが、私たちが講師を引き受けた翌年、様々な問題が表面化しました。前学長が辞めて、今学長に変わった年です。

 

経理を担当する先生も変わり、態度が急に悪くなりました。

 

経理の先生に、前年と同じ実習費用を申請したところ、なんの事前連絡もなく経費の引き下げが起きました。

 

きっと、普通の民間で働いている方からしたら、「毎年更新の委託契約書のどこにも講師料の記述が一切ないこと」なんて信じられない出来事でしょう。大学という場は、お金や契約に関して不透明すぎることが本当に多いのです。

※1年目に書類で入金時期と、いくら入金するのかをしっかり示せとゴネたら、ようやく総務から連絡がありました。

 

私たちから依頼した講師契約ならまだしも、大学側から頭を下げられて交わした契約です。実は「常勤の講師になってほしい」という依頼もいただいておりましたが、こんな状態では続ける意味がないと、今期で非常勤講師の契約を打ち切ることになりました。

 

大学教授になる方法』のなかにこんな記述があります。

 

 

私立辺境大学は学生募集もままならず、偏差値の低い学生ばかりが集まる。文字通りの辺境でなくても、地理的条件の悪い所には、学生も集まらない。したがって、大学の安定経営はなく、教員の給与をはじめとする待遇も劣悪になりがちである。しかし、どこにあるにしろ、待遇がいかなるものであるにしろ、大学なのである。研究はできる。教育は、やり方次第ではうんと効果が上がる。それに食えない額の給料ということはない。静かだ。時間はある。少なくとも、5年間、懸命に研究し教育するつもりならば、どこでもやり過ごせるのである。

 

大学教授を目指すのでなければ「食えなくはない額の給料」で、「劣悪な待遇」で働く意味はありません。「大学と講師契約を結んでいた」というキャリアは得られましたので、弊社はこの場を離れたいと思います。